苦い文学

悪の王宮

悪邪帝国 どくろ大帝様

玉座前落下装置修理報告

【故障の現状】
玉座前面に設置された床面開閉式落下装置(バネ式)の床蓋が閉まらなくなった。

【経緯】
先月、裏切り者を落とそうと玉座の肘掛け突端部のボタンを押したところ、勢いよく開かずに、途中で止まってしまった。そのため、裏切り者が地下の穴に落下せず、玉座の利用者様(大帝様)に襲いかかった。周囲の悪の子分たちが直ちに八つ裂きにしなければ危ないところであったとのこと。

床蓋は半開きのままとなり、ボタンを押しても作動しない状態。

また蓋が開きっぱなしのため、地下孔に落とされた数々の裏切り者の死体から発せられる腐臭が王宮中に漂い、悪の活動に支障が出ている。

【故障の原因と修理】
装置の歯車・バネ部に人骨が挟まっていたのが原因であった。脱出しようとして巻き込まれたと考えられる。障害物を取り除き、グリスアップを行なったところ、問題なく開閉できるようになった。なお、歯車とバネには再発防止のため防護カバーを取り付けた。

腐臭については一時的な措置ではあるが、防臭剤(家庭用)を投下。

【今後の提案】
今後も同様の事象が起こる可能性があるため、落下装置の電動化を提案。また異臭対策のため、地下孔に超大型ディスポーザと浄化槽の設置を提案。

(修理担当者の名前と印)
*担当者が電動化とディスポーザの見積もりをお客様にお示ししたところ、逆鱗に触れ地下に落とされたため、支店部長が代筆。