私は良い人間でも悪い人間でもない。でも、弱い人間が理不尽にいじめられているのを見ると、黙っていられない。
弱い人間とは、その人の強さ弱さをいうのではない。社会的に弱者とされている人だ。例えば女性。女性の中にはもちろん強い人もいっぱいいるが、その強さだけではどうしようもできない暴力にさらされている。そして、その暴力にもっとも苦しむのが、弱い立場にいる女性たちだ。
また難民もそうだ。難民というのは、国家という後ろ盾を失った人々であり、そうした人々はひとしなみに「うさん臭い、弱いもの」と見なされる。もちろん、難民にもイヤな奴はいくらでもいる。だが、イヤな奴だからといって、その人を不当に苦しめることはできない。
私は、これら弱い人々のために一生懸命働いてきた。だからといって、普通の人々を蔑ろにしているわけではない。こうした弱い人々が力をつけることが、結局のところ、それ以外の人々の生活の豊かさにつながるのだ。
そして今、人々は正義に飢えている。腐敗しきった世の中が正されるのをいまかいまかと待っている。「悪を懲らしめてくれ!」 そう口々に叫んで、新しいリーダーを求めている。人々は私の名を呼ぶ。前に立ってくれと、絶叫する。ついにそんな時代になったのだ。力あるヒーローが憎きヴィランどもを滅ぼす、そんなスカッとする世界がついに到来したのだ。
私もまもなくヴィランのひとりとして殺されるだろう。