苦い文学

ストレスチェック

今年、平助はある学校で、非常勤として授業を一コマ担当した。前期だけだから、契約期間も9月いっぱいで終わりとなった。すると、10月になって、その学校からこんなメールが送られてきた。

「ストレスチェックのお知らせ」

メールを開くと「必ずストレスチェックを受けてください」と書いてあり、どうやら常勤の教員や職員が対象のようだ。契約の終わった非常勤には関係ない、と平助はメールを削除した。しかし、2週間後、またメールが来た。

「【周知】ストレスチェック実施のご案内」

今度も削除すると、1週間ほどのちにさらなるメールが送られてきた。

「【重要】ストレスチェックのご案内」

メールには、「*このメールは現在実施中のストレスチェック未受検者の方に送っています。」とあり、ストレスチェックの URL が貼り付けられていた。そこまでいうのなら、と平助はリンクに飛んでストレスチェックを受けることにした。

60 問ほどの質問があって、そのそれぞれに「そうだ まあそうだ ややちがう ちがう」のどれかで答えるのだった。

1問目「非常にたくさんの仕事をしなければならない。」
2問目「時間内に仕事が処理しきれない」

どうやら質問は、常勤向けのようだった。非常勤暮らしの平助は、やるせない思いを抱きながらも答えていくと、こんな質問が出てきた。

12問目「私の部署内で意見の食い違いがある」

もう無理だ、と平助はタブを閉じた。

それから数日後、メールがやってきた。

「【緊急】ストレスチェックを受けましょう!」

平助はもう確信していた。連中は非常勤を相手にストレス発散しているのだ、と。