苦い文学

架け橋

架け橋になりたい、という真っ直ぐな思いを胸に、東南アジアの小国、カナベアにやってきたある若者は、最貧部の農村に行き、日本で集めた古着や文房具を村人たちに配りました。

すると、村のリーダーが若者に声をかけました。「私たちはあなたのしていることに感謝しています。ですが、一部の人々はあなたに何か悪い意図があるのではないかと疑っています。これから長老の家に行って、あなたの目的を話してくれませんか」

若者は長老の家に連れて行かれました。色黒で、シワだらけの老人の小さな目が鋭く見つめていました。

「私がこの村で支援活動を行うのは他意あってではありません。カナベアと日本の架け橋になりたいだけなのです」

村人が長老に通訳しました。すると、長老は小さな目から涙を流しました。

「私たちはあなたがこの地にやってくるのを長い間待ち望んでいました。あなたこそ、村の聖者が予言した人に違いありません。あなたのおかげでこの地の人々は救われることでしょう」

この言葉を通訳から聞いた若者もまた感動しました。すると、村人たちが若者に掴みかかり、ねじ伏せ、ロープで縛り上げました。あまりのことに若者は一言も発することはできませんでした。

村人たちは若者をリヤカーに乗せて運んで行き、川のほとりで下ろしました。そこには真新しい橋がかかっていました。

「日本政府の支援によって建てられた橋です」と村人。「この橋は私たちの生命線です。なぜなら、流れがはやくて危険なこの川を渡るには、この橋しかないからです。いにしえの賢者の予言によれば、橋になりたいという異国の若者が来るので、その人を橋のたもとに埋めるがよい、そうすれば、橋は完成し、破壊されることは決してないだろう、ということです」

すでに穴はできあがっていました。村人たちは若者をその穴に放り投げると、上からどんどん土を被せました。