苦い文学

ピラミッドは宇宙人が作った!

宇宙人が世界の最果てに漂う青い星に飛んできて、人類を発見したとき、この幼い種族の発展を願わずにはいられなかった。

そこで、当時もっとも文明の進んでいたエジプトの王の前に現れ、こう言った。

「私は遠い世界からやってきた最高の賢者だ。私たちの力を、諸君のために提供しよう。望みを言うがいい」

強大な王は言った。「私はかつて、自分が永遠に王国を支配できるようにと、巨大な建築物を作ろうとしたことがあるのだ」

王は、倉庫に入れられたまま忘れ去られていた図面を持ってこさせ、宇宙人に見せた。「ピラミッドだ。だが、どの賢者に見せても、不可能だと言い張るのだ。それで私は諦めていたのだが、もしもお前が最高の賢者というのならば、これを作ってみよ」

宇宙人は王の無知に微笑みながら、承諾した。宇宙人は、異星の未開人のために技術を使用する許可を得るため、さっそく宇宙稟議書を作成し、本星へと送った。その稟議書が宇宙のあちこちで星の数ほどの承認をもらい、いくつもの部署を通過し、最終的な決済が降りるまで、気の遠くなるような時間がかかるのだった。

宇宙人が力を携えてやってくるのをエジプト人の王は待ち続けた。王はついにこの世をさり、次の王が即位し、さらに次の王、そして何代も経て、王朝そのものが変わった。

宇宙人の約束はしっかり伝承されていたから、新たな王朝の王も待ち続けた。そして、さらに数代経て、新たに玉座に登った王は、とうとう痺れを切らして言った。

「そもそも得体の知れぬ賢者に頼ったのが間違いのもとだ。我々でもう作ってしまおう。真剣に取り組めば、きっとできるはずだ」

そんなふうにして、エジプト人たちはピラミッドの建設に本格的に取り組みはじめた。宇宙人がいなければ、そんな成り行きにはならなかったのだから、ピラミッドは宇宙人が作ったといってもいいだろう。