「おさるのジョージ」は1940年代に発表された子ども向けの英語作品で、原題を「Curious George」という。アニメ放送もされている有名なシリーズだ。タイトルの通り好奇心旺盛な霊長目のジョージが、人間社会で大騒動を起こす。例えば、郵便配達の真似をして郵便物をデタラメに配ったり、ケーキ屋さんになりきってキッチンをめちゃくちゃにしたり……だが不思議といつも最後には丸く収まるのだ。
物語には「黄色い帽子のおじさん」という男性も出てくる。この「黄色い帽子のおじさん」は帽子のみならず全身黄色の服を着た奇妙な人物だが、彼こそが、ジョージを未開の地で発見し、先進国に連れてきたのだ。この登場人物はジョージの友人であり、また指導者の役割も担っている。
現在、この「おさるのジョージ」が炎上しているという。とくに「黄色い帽子のおじさん」には、日本中から猛烈な批判が寄せられている。アニメ放送も先日以来休止したままだし、愉快なグッズの数々も店頭から撤去された。
批判する人々によれば、おさるのジョージとは日本人のことなのだという。「おさるのジョージ」は、野蛮な日本人を文明人が教え導くという差別的な内容である、と非難するのだ。彼らはこう叫ぶ。
「あの黄色い帽子のおじさんを見よ! 白人たちが彼に黄色い服を着せたのは、黄色人種に対する当てこすり以外にありえない!」
ここで批判者は決まって、白い帽子に白いスーツ姿の男の画像を示す。「ほら、もともとは白服だったのに、猿の影響で黄色くなったという設定の証拠がこれだ!」
私たち、ファクトチェック委員会が調査したところ、この出所の怪しい画像は、「おさるのジョージ」とはまったく関係がなく、クレイジーケンバンドの横山剣氏であることが確認された。