苦い文学

移民を食べるペット

先進国のアメリカで、移民を食べるペットが生み出された。レオン・マスクが宇宙事業をほっぽり出して、X で知恵を募った結果、移民がペットを食べるのならば、ペットが移民を食べてもいいのでは、という逆転の発想が飛び出てきたのだ。

さっそく移民を食べるペットが国中に放たれ、バリバリ移民を食べ始めた。なお、アメリカは先進国なので、ペットのトレーニングもしっかりしていて、決して移民以外は襲わないのだった。

移民たちは対抗手段として、このペットを食べようとした。だが逆に食べられてしまった。かくして移民は一掃され、万里の壁の建設も大量の強制送還もなくして、アメリカの移民問題が解決したのだった。

これを見た日本人が、アメリカにならって、このペットを日本にも導入することにした。海外のペットを日本に持ち込むには動物検疫上のさまざまな手続きが必要だったが、狂犬病の注射はすでに狂っているという理由で免除された。

そして、移民を食べるペットがついに日本に上陸した。

「さあ、行くのだ!」

ペットは勢いよく飛び出して行った。

1日目、日本人たちの期待に反して、移民が食べられたというニュースは届かなかった。

2日目も同様だった。果報は寝て待てかもしれない、と日本人は思った。

そして、3日目、日本人はペットが品川入管前で餓死しているのを発見した。

そのとき日本人は、公式には日本には移民がいないことを思い出した。