苦い文学

運転感覚の調整

電車に乗っていると、「運転感覚の調整のため」というアナウンスが入って、急に止まることがある。乗客としては迷惑だが、抗議のしようもない。

それにしても「運転感覚の調整」とはいったい何だろうか。いろいろ調べてみると、電車の運転手の感覚のずれをもとに戻すための調整作業のことだそうだ。

電車を運転するとは、さまざまな感覚が同期していることが必要だという。なぜなら運転中に起こるさまざまな事象に対処するためは、すべての感覚が同時に反応しなくてはならないからだ。

しかし、運転時間がある一定の時間に達すると、その同期にずれが生じてくるのだそうだ。このずれがある状態では、安全に運転することができない。たとえば、線路内に人が立ち入った場合、通常ならば急ブレーキを踏むところだろうが、運転感覚がずれていると誤反応が引き起こされ、走行中にすべてのドアを開けてしまうかもしれない。これは重大な事故につながりかねない。だからこそ、運転手は安全運転のために、運転感覚のずれを随時調整しなくてはならないのだ。

そういうことであれば仕方がないが、運転感覚の調整のすぐ後に、今度は運転間隔の調整だといってさらに待たすのは、さすがにやめてほしい。