苦い文学

割れた酒瓶

日本は治安が良くて、キレイで、ゴミひとつ落ちてない、などといって鼻高々な私たちだが、じつのところ、ポーランドもキレイで、ゴミひとつ落ちていない。また、どこに行っても、安全で、不快な思いをすることなく過ごせる。

要するに素晴らしい国なのだ。ただひとつの点を除けば。

ときどき道端に、凄惨な割れ方をした酒瓶が転がっているのだ。たいていはビール瓶だが、もっと強そうな酒もある。

酔っ払った人間たちが空いた酒瓶を道端に投げ捨てて、むごたらしく割る。ポーランドでの生活もそうそう楽ではなさそうだ。いずれにせよ、サンダルで歩く私は、これがいちばん怖かった。

興味深かったのは、どんなに酒瓶を割ろうとも、これら酔漢はけっして吐いたりしないということだった。道端にゲロなど落ちていないのだ。日本では割れた酒瓶などめったに見ることはないが、ゲロなら任せとけだ。

いったいこれはどういうことだろうか。

割れた酒瓶の数とゲロの量は反比例するのだろうか? 日本政府とポーランド政府による合同調査の開始を心待ちにしたい。