苦い文学

コスモス

『コスモス』は、ポーランドの作家、ヴィトルド・ゴンブロヴィッチの小説で、日本では「東欧の文学」というシリーズの一冊に入っている。

この(シリーズの一冊としての)『コスモス』には、別のポーランドのユダヤ人作家のブルーノ・シュルツの短編集『肉桂色の店』も入っている。順番としては、シュルツ、ゴンブロヴィッチの順に収録されている。

この夏、ポーランドに行くことになったので、積みっぱなしのポーランド文学を読んでおこうという気になった。そのうちの一冊が、『東欧の文学 コスモス』だ。

私は少しずつ読み進め、『肉桂色の店』をほぼ読み終えたところでポーランドに持って行くことにした。

そして、この本を私はポーランドで無くしてしまった。ワルシャワに到着した日に私はキャリーバッグを引っ張って、駅からホテルまで長い距離を歩いたが、そのバッグのチャックが開いていたのだ。どうやらそこから『コスモス』だけが、ワルシャワの街角のどこかに落下したらしい。

非常にガッカリしたが、しょうがない。また、シュルツには別の日本語訳もあり、私はそれも持っていた。

その後、ポズナンの本屋でオリジナルの “Kosmos” を見つけた。私はポーランド語はわからないが、一応「江戸の敵を長崎で討つ」の精神で購入した。