苦い文学

ポーランドの本屋

ポーランド滞在の楽しみのひとつは本屋だ。empik というのが大手のチェーンの本屋で、本のほかに CD や文具なども売っている。会計は基本的にセルフレジのようだ。

empik の本の品揃えはどちらかというと新刊中心のようで、ポーランド文学の棚もそれほど大きくない。しかし、街のあちこちに小規模な書店がある。私は暇があるとそうした本屋を見て回った。

もっとも私はポーランド語はわからないから、用はないわけだが、それでもレムとかシュルツとかゴンブロヴィッチとか知っている作家の本を探すのは楽しい。シェンキェーヴィチが『クォ・ワディス』以外にもたくさん大作を書いているのも初めて知った。

外国文学の翻訳も充実していて、欧米の作品は言うに及ばず、どの書店に行っても村上春樹は必ず置いてあった。

だが、なによりも私を驚かせたのは、ミステリーと SF とファンタジーが売り場のかなりのスペースを独占していたことだ。ミステリーが人気なのは日本でも同じだが、ファンタジー系の分厚いシリーズで壁が埋め尽くされていることもポーランドでは珍しくはなかった。

多くは翻訳物だ。ハリーポッター・シリーズ、『指輪物語』、ラブクラフト、コナン・シリーズなどの定番かつ古典的作品は当たり前で、私の知らないシリーズもたくさんあった。SF も日本で知られているような作家はたいてい見かけた。

日本だと、SF やファンタジーは文庫本中心で、あまり目立たないが、ポーランドでは違う。サイズの大きいハードカバーで、装丁も重厚、色調もダークだ。さらには本の側面(小口と天地)に濃厚なイラストが描かれているものもある。中世、いや魔法世界の稀覯本といっていいだろう。

欲しくなったが、結局のところやめた。ポーランド語読めないし、荷物重くなるし。