苦い文学

ポーランドの教訓

学生のころ、ポーランド語初級の授業をとったことがある。一年だけでやめてしまい、やがてすべて忘れてしまった。

いや、すべてではなかった。たったひとつの単語「małpa(マウパ)」だけが私のポーランド語学習の記憶として残っている。なお、その意味は「猿」だ。

さて、そのポーランドに用事ができて、行くことになった。昨日、成田を出発して、いまワルシャワにいる。

ポーランドは初めてだが、そもそもヨーロッパ自体ひさしぶりだ。北アフリカのチュニジアにはよく行くが、たいていエミレーツ航空かカタール航空だ。ヨーロッパ経由でも行けるが、割高だ。

ポーランドに行くには、ドイツやオランダ経由の便もあるが、ポーランド航空で直行便で行くこともできる。毎日就航しているわけではないようだが、私の場合日程が合って、行きも帰りもポーランド航空になった。

出発は 22:50 で、成田から出る最終便のようだ。ワルシャワに到着するのは 06:00 で 14 時間程度のフライトだ。

食事は、夕食と朝食の 2 回出る。その夕食のとき、客室乗務員が「ポークかチキンか」と聞いてきた。これを聞くや、えもいわれぬ違和感にとらわれた。そして、すぐに理由がわかった。

「ポーク」だ。

私は長らくアラブ系の航空会社を利用してきたので、「ポーク」が機内食の選択肢に入ることなどなかったのだ。

ささいなことでも慣れというのは恐ろしいものだ。私は「ポーク」を選び、この教訓をしっかりと味わった。