苦い文学

財閥

私はいま風邪で寝込んでいるが、ようやく熱も下がってきた。発熱していると、夢と現実の区別がつかなくなってしまう。夢で起きたことなのか本当に起きたことなのかわからずに、しばらく呆然としていることもある。だが、そうしたこともじょじょに減り、眠れる時間も長くなってきた。

食欲も何日もなかったが、今日ひさしぶりに食べ物らしいものを食べることができた。

とはいえ、立つとフラフラするので、出歩かずに、終日ベッドで過ごしている。動画を見たりしているが、高熱に浮かされていたときは YouTube も見ることができなかった。だが、今は韓国ドラマも見られるようになった。

韓国ドラマには財閥がよく出てくるが、いま私が見ているのもそんな「財閥モノ」のひとつだ。

こうしたドラマは、見る夢に必ず強い影響を及ぼす。夢で私はキムチを漬けている田舎の男性に出会うのだが、よく見ると財閥の会長役の人だ。

キムチを食べたくなった私はその男性に近づく。すると、男は「もう、キムチ作りはやめた」といって姿を消してしまう。私は呆気に取られるが、放置された白菜を見ているうちに、キムチ作りを引き継ごうという気になる。

回復したら、財閥直傳のキムチとして売り出すつもりだ。