苦い文学

メン・イン・ブラック

メン・イン・ブラックは映画にもなったが、黒服の男たちのことだ。これらの不気味な男たちは、宇宙人を目撃した人々のところに現れて、「言いふらしたら命はないぞ」などと口封じをするという。

その正体についてはいろいろな説がある。ただの都市伝説だという人もいる。本当のところはわからないが、有名になりすぎたせいか、あるいは、情報が拡散しやすい世の中になったからか、最近は鳴りをひそめているようだ。

ところで、私が気になっているだけなのかもしれないが、宇宙人や UFO の話題になると、こんなことを言う人がどこからともなく現れる。

「宇宙人はいるよ」 この言葉に私たちがギョッとして聞き返すと、その人はこう答える。「人間だって宇宙人でしょう」

またそういう人はこうもいう。「UFO は実在するよ」 それで私たちが慌てて問い返すと、決まってこんな答えが返ってくるのだ。「そりゃ、未確認飛行物体だからね。もっとも、宇宙人の乗り物かどうかは不明だけど」

私たちはこれを聞くと、会話するのが恥ずかしくなる。それで、会話は断絶するのだ。

なぜ、これらの人々は、私たちが宇宙人について話していると必ず出現するのだろうか。どうして、聞かれもしないのにとんちを得意げに披露して、私たちの会話を妨害しようとするのだろうか。

もしかしたら彼らは、現代のメン・イン・ブラックなのではあるまいか。