私たちの都市の鉄道で、撮り鉄たちが暴れ出した。
電車の写真を撮るために、道を塞ぎ、草花を踏み散らし、通行人たちを罵り、果ては肝心の電車の運行にまで害を及ぼし始めた。
私たちは駅に対策を訴えたが、なんにもしない。それもそのはず、後から分かったことだが、撮り鉄の一味に駅長の親族がいたのだ。困りはてた私たちは、自警団を組織し、撮り鉄たちの排除に乗り出した。
自警団は交代で駅周辺の撮り鉄スポットを見張り、カメラを持って近づく者があれば、棒で威嚇したり、石を投げたりして追っ払った。また、一般人に扮装している場合もあるので、怪しげな者は残らず縛り上げ、時刻表や電車のプレートを踏ませたりした。
ある日、自警団は、電車のホームで不審な動きをする人物を発見した。さっそく急行して、引きずり倒した。
「やめてくれ! 助けてくれ!」 男は血まみれになって叫んだ。
「黙れ! 撮り鉄め」
男がわめいているあいだに、自警団は鞄を漁り、カメラを発見した。記録された写真を見ると、電車の写真が何枚もある。
「おのれ、縛り首にして、見せしめに4番ホームの屋根から吊るせ!」
「ちがう! ちがう! 私は撮り鉄ではない!」
「嘘だ! こいつの舌を引っこ抜け!」
「そのカメラじゃない! もうひとつのカメラ!」
一人の団員が舌をハサミで切断しようとしていると、別の団員がもうひとつのカメラを見つけた。「ちょっと待て」 メモリを見てみると、女性を駅や電車で盗撮した写真ばかりだ。
「そうだ! 私は撮り鉄のふりをした盗撮魔だ!」 男の絶叫が駅に響き渡った。
自警団は協議のすえ、メモリをコピーしたうえで男を放免することにした。