その人はとんでもない辺境の地に住んでいるのだ。だけど、Amazon は使える。それで、本を頼む。すぐに準備が整い、関東の Amazon の物流センターから発送される。
本が収められた箱はトラックに乗せられ、海辺にたどりつき、船に積まれる。その海はいつだって大しけで、ビルくらいある大波が船を襲い、なんでも水浸しにしてしまうのだ。
なんとか海を渡るとその先には灼熱の砂漠が広がっている。Amazon の箱はラクダに積まれて運ばれていく。そこでは、すさまじい太陽の熱のせいで、なんでも発火寸前に熱くなり、激しい砂嵐のせいで、すべて砂まみれになってしまうのだ。
この死の砂漠を抜けると、広大な密林が行手を阻む。ほとんど裸で暮らす原住民がここからの配達を担うのだ。原住民は文明化されていないので、積荷の価値などわからず、扱いもすごく雑だ。しかもジャングルのすごい湿度でなんでもたちまちカビだらけになる。また、軍隊アリたちが群れで襲ってきて、なんでも噛み破って粉々にしてしまうのだ。
このような困難な配達経路を通って、ようやく Amazon の箱はその人のもとに届く。その人は箱を開き、商品を見る。なんと素晴らしい状態で届いたことだろうか。
感激のあまり、その人は Amazon のサイトを開き、レビューを書き込むのだ。
⭐️ ⭐️ ⭐️ ⭐️ ⭐️
「とても綺麗で状態の良い商品で、届いて実物を見た時はとても驚きました。」
私は思うのだが、こうしたレビューが書かれるにはこれくらいの事情がなくてはならぬのだ。でなければ、どうして商品の内容と関係のないことを書けようか?