最近のニュースといえば、日本の人気バンドが、ミュージックビデオでコロンブスを取り上げて、大炎上したことだろう。
良識ある人々はみんな批判したし、良識のない人々も真似する良識はもっていたのでやっぱり批判した。そんなわけでミュージックビデオも削除されたし、タイアップもなくなり、音楽番組の出演も無くなった。
私はこの問題に詳しくないが、やはり批判されて当然だと思う。今の時代は、どんな酷いことでも平気で許された無神経な時代とは違う。さまざまな人の立場や気持ちを尊重しなくてはならない。
だから、コロンブスを持ち出すときも、バンドもミュージックビデオの製作者も、このビデオを見るさまざまな人々に想いを馳せ、想像力を働かせるべきだったのだ。
いったい、いきなり面と向かってブスと言われたら、どう思うだろうか? この言葉はルッキズムを助長するのではないだろうか? ブスなどという言葉の代わりに「個性豊かな」を用いるべきでは?
当時はコロンブスだったかもしれないが、現在の目から見れば、むしろコロン美人であるという可能性はないか? それにあの「ドブスを守る会」が抗議文を送ってきたらどう対応する?……などなど配慮すべき点はもう数えきれない。
「こんな難しいことできるか」とか「息苦しい時代になった」とか、そんなふうに投げ出すのはたやすい。だがむしろ、難しいからこそ、新たな表現のチャレンジへと立ち向かうのだ。これからのクリエイターに必要なのはそんな覚悟ではないだろうか。