苦い文学

iPhone の修理

iPhone の背面が割れてしまったので、彼は丸の内の Apple Store の予約をとった。時間ぴったりに行き、店員に見てもらうと、3 時間ほどで修理できるという。彼は携帯を預けて Apple Store を出た。

どうやって時間を潰すか。彼は丸の内は不案内だったから、電車でとりあえず秋葉原に行くことにした。東京駅に行くが、彼は Suica がないことに気がついた。iPhone に入っていたのだ。慌ててバッグを探したが、現金はまるでなかった。

そこで、彼は喫茶店にでも行こうと考え、東京駅の外に向かって歩き始めたが、すぐに現金がないことを思い出した。こうなったら、散歩でもしよう、と彼はぶらぶらと歩き出した。その日は晴れて、気温の高い日だった。

散歩をしばらくすると、彼は時間が気になってきた。もうそろそろ引き返したほうがいいかもしれない。時間を見ようと彼は iPhone を探し、ないことに気がついた。

「時計を見つけよう」 彼は歩き回って探した。しかし、どこにも時計はないのだった。そして、さまよい歩いているうちに、自分がどこにいるかわからなくなった。

彼は、地図で自分の位置を確認しようと iPhone を探したが、なかった。

困り果てた彼は、家族に電話をしようと iPhone を探したが、なかった。

喉が渇いてきたので、自販機でお茶を買おうとしたが、iPhone も現金も、なかった。

「公園なら、水が飲めるかもしれない」

彼は探し始めたが、どこにあるか見当もつかなかった。太陽はますます照りつけてくる。汗が止まらない。渇きと飢えで、彼は頭がくらくらした……そして、それきり彼は行方しれずとなった。

10 日後、彼は上野動物園の猿山の中腹で遭難しているところを救助された。