苦い文学

最後の政党

どうして、次から次へと変な政党が生まれるのだろうか。とんでもなく悪辣な政党ができたと思ったら、その次の次の選挙には、それをはるかにしのぐ狂気の政党が登場する。そのせいで、先行する悪辣政党もかすむくらい。いや、悪辣どころか、良識あふれる人々とすら見えてくる。

我が国の政党はこんなふうにエスカレートしていく一方なのだろうか。つまり、悪辣、残虐、狂気、無責任の点で、既存政党を常に超えていく政党が絶えず登場し続けるのだろうか。

もしそうだとしたら、その先の先に現れる政党とは、いったいどんな公約を掲げ、いったいどんな陰謀論に取り憑かれ、いったいどんな選挙妨害を行い、いったいどんな嘘をつくというのだろうか。

すくなくとも、ある段階では、選挙活動として殺人を公然と行う政党が現れるだろう。だが、そんな恐ろしい政党ですら、その次の選挙では、もっと恐ろしく不埒な政党に「良識をわきまえろ!」と怒鳴るようになるのだ。

いったいその政党はどんな政党だろうか。私にはわからない。だが、ずっとずっと先、はるか未来にどんな政党が出てくるかはすこしわかる。

その政党は、選挙活動で大声をだしたり、妨害したり、暴動を煽ったり、殺人をそそのかしたりなどしない。人類と宇宙の歴史を終わらせるために、時の流れにとどめを刺すだけだ。

宇宙が終わる以上、この政党のあとには、もうどんな政党も現れない。そんなわけで、その政党は、最後の政党と呼ばれている。