苦い文学

皇紀2684年の荒野(前編)

ゴルゴ 13 シリーズ 超A級スナイパーのスーパー・アクション!!
『皇紀2684年の荒野』

【PART 1 原田所長の “訴え”】
東京、ジャパン
(愛子さまを称賛するテレビニュース。街角インタビューで、敬愛の念を語る人々)

(その放送を見ている宮内庁長官、石部金造、テレビを消す)
「我々の苦労の甲斐あって、皇室への敬意は年々高まるばかりだ」

部下「ええ、これも長官のご尽力のおかげです」

別の部下「長官、原田所長が面会を求めています」

石部長官「通せ」

(原田所長、緊張した面持ちで入室する)
原田所長「長官、このままでは危険です。臨界点に近づきつつあります」

石部長官「またその話か、愛子さまのことなら心配はいらん、国民の様子をみるがいい」

原田所長「ですが……事故が起きてからでは遅いのです!」

石部長官「もういいっ! 同じ話をくどくどと!」

【PART 2 敬意の “ヘイト化” 現象】
(原田所長、うかない顔で地下施設に戻る。部下が話しかける)
技師「所長、またダメだったんですかい」

原田所長「うむ、上の連中にはこの危険な状態がわからないらしい」

技師「ですが、国民の間で愛子さま人気が高まることのなにが悪いんでさあ」

原田所長「そりゃあいいさ。ただし、その国民の敬意をコントロールできているかぎり、だ。バルブひとつ吹き飛んだだけで、敬意というものは制御不能になるのだ。そうなったら、敬意は臨界点まで上昇し、起こるのは最悪の事態……」

技師「炉の融解と爆発……!」

原田所長「それだけじゃあない。制御不能の敬意は皇室ヘイトへと変容し、炉の爆発とともに東京中に皇室ヘイトが撒き散らされるのだ」

(東京中に皇室ヘイトが降り注ぎ、多くの都民があえぎ苦しみ、バタバタと倒れていく様子。技師は震え上がる)
原田所長「そんなことが起これば、皇紀2684年の東京はもはや人の住めない荒野と化すのだっ」

(ヘイト汚染により荒れ野となった東京の様子。悔しそうに唇を噛む原田所長……)(次号につづく)

“皇紀2684年の荒野(前編)” への 1 件のフィードバック

  1. ピンバック: awareness

コメントは受け付けていません。