苦い文学

あおり事故をなくすために

私の海外経験はかぎられたものだが、それでもはっきりしていることは、日本の道路はおとなしいということだ。

クラクションが鳴ることは滅多にないし、運転席の窓が開いて罵り合いがはじまることもない。しかし、異国では路上ではクラクションはつねに鳴りっぱなしだし、運転席からは人差し指が突き出されたままだ。

私はこうした海外の騒がしい状況のほうがより安全だと考えている。考えても見てほしい。四六時中クラクションを鳴らされているドライバーが、1回のクラクションでブチ切れることなどあるだろうか。あおり運転だってそうだ。あおりが日常ならば腹も立たないのだ。

思うに日本のドライバーはクラクションや罵り合いに対して耐性がなさすぎるのだ。だから、すぐにカッとなって、痛ましい事故を引き起こすこととなる。

日本のドライバーはもっと耐性をつけるべきだ。もっとクラクションを鳴らすべきだし、もっと罵り合うべきだ。もっともっとあおるべきだ。路上でクラクションが鳴り響くならばきっと事故は減るだろう。

もちろん、それでも激怒せざるをえないようなトラブルだってあろう。そんな時は気をじっと静めてほしい。あおりや無茶な運転などせずに、落ち着いて外に出て、トラブルの原因となった相手のドライバーと向き合ってほしい。

そのときには、高速だろうとなんだろうと、あらゆる車はストップし、ほかのドライバーたちも車を降り、輪になって見守っているはずだ。

そして、すべての車のオーディオから爆音で Beat it が流れだす。ふたりのドライバーたちは片手を縛りあう。もう片方の手には飛び出しナイフがきらめく。命をかけた決闘が始まるのだ!

車同士のトラブルもこのような形で解決すれば、あおりによる痛ましい交通事故は激減するのではないだろうか。