苦い文学

断食のとき

私は今ラマダンまっただ中のチュニジアにいる。

ラマダンとは、ひと月のあいだ断食をするイスラムの行事のひとつだ。もっとも1ヶ月まるごと食べないというのではなく、日の出から日没までの間だけだ。その間、食べ物はもちろん水も口にしてはいけない。

私にとってはラマダン期間中の訪問は初めてだ。ムスリムでない私が断食をする必要はないが、さすがに人前で飲み食いするのは憚られるので、ホテルにいるときだけにしている。

ところが、昨晩からホームステイすることになった。家の人が「明日は一緒に断食してみる? でも、つらければ飲み食いしてもいいよ」という。私はやってみることにした。

そして今朝、私は午前5時前に起こされた。ヨーグルトとマドレーヌみたいなお菓子を一緒に食べる。水もたくさん飲む。これから午後6時半すぎまで食べられないと思うと緊張してきた。

「あっ」

私は慌てて、昨晩から充電中のiPhoneを手にとった。フル充電できていなかったらどうしよう!

だがすぐに、別にiPhoneは昼間でも電気を食べてもいいということに気がついて、そのまま置いた。