苦い文学

個人の見解

ツイッター(現X)のプロフィールを見ると、こんなことを書いている人がいる。

「個人の見解であり、所属する組織とは関係ありません」

私はこうした言葉を見るといつも悲しくなる。なぜなら、自分には所属する組織がないことを思い出させるから。

そして、うらやましくもなる。まったく、個人の見解と所属する組織の2つも持っているなんて、ずるくないだろうか。しかも、それを例の青い有料認証マークみたいに、自慢げに書けるとは。

そもそもその組織だって「個人の見解であり、所属する組織・会社とは関係ありません」と、読み手に自分の所属する組織に意識を向けさせるぐらいなのだから、きっと名のあるところに違いない。

また、そんなふうに組織を持ち出すからには、きっとその組織でもそれなりの地位についているはずなのだ。

こう考えていくと、私はだんだん腹立たしくなってくる。なぜなら、「個人の見解であり、所属する組織・会社とは関係ありません」という人は、じつはこう言いたいのがみえみえだからだ。

「自分の見解は、とある名のある組織に所属している、地位高き人間様の意見だぞ!」

つまり、「関係ない」などといいつつ、所属している組織を自分の見解の箔づけにこっそりちゃっかり利用しているのだ。個人の見解でもなんでもなかったのだ!

これを怒らずにおれようか。私のように所属する組織のない人間がどんなに個人の意見を主張してもまともに相手にされないはずだ。

あまりにも悔しいので、無所属の個人の見解の持ち主を糾合して、「個人の見解」という組織を立ち上げて対抗措置としたい。