苦い文学

Heavenly Home

メーソートで私たちを案内してくれたカレン人の牧師は、子どもたちの施設を運営している。Heavenly Homeという名のその施設に最後に連れて行ってもらった。

そこでは約85人の子どもたちが生活している。男女ほぼ半々で、最年少は5歳、最年長は19歳だ。障がいのある子も何人かいた。こういうことについては私はよくわからないが、足が不自由で杖をついている女の子がいて、私たちをみると、とてもうれしそうにほほ笑むので、おおいに癒された。

カレン人の牧師だから、カレンの子ばかりと思ったらそうではなかった。アラカン、ナガ、ラフ、インド系の子どもたちもいる。杖の女の子はカチンだそうだ。それぞれ独自の言語を持っているが、ビルマ語が共通語だ。家庭環境も、親がいなかったり、家族に問題があったり、親が HIV だったりとさまざまだ。

子どもたちはこの施設に暮らしながら、タイの学校に通っている。学校もあちこちにあるようで、車で朝夕の送り迎えをするのも、牧師の役目だ。現在、別の場所で大学に通っている子もいるという。

この施設の運営費について牧師に聞くと、かつては特定の団体から支援を受けていたが、現在はそうではないという。

「ある組織から資金をもらうと、その団体の基準を受け入れなくてはならないだろ。そうすると、その基準に合わない子は施設で受け入れることができなくなる。それじゃ、現場に即した支援はできない。で、そういう形で資金援助を受けることはやめたんだ」

エライ組織に属さないインディー施設だ。おなじくインディー系の私としてはおおいに気に入った。