苦い文学

プラテポー IDP キャンプ(1)

メーソートに戻ってきたその夜、私は疲れが出たのか、高熱と腹痛でのたうちまわり、その次の日も1日寝ていた。

ようやく動けるようになったのはその次の日で、なにも食べることはできなかったが、私は友人とともに牧師にいくつかの場所につれて行ってもらった。

初めに行ったのは、メーソート市街から車で 45 分ほどのなだらかな丘陵地帯で、すぐ近くに大きな川が流れている。

その川の向こうはビルマだ。向こう岸には木々の間に小さな粗末な家が立ち並んでいるのが見える。

これは IDP キャンプだという。IDPというのは国内避難民(Internal Displaced People)のことで、要するに国外にも逃げることのできない難民たちだ。

「プラテポー」キャンプという名前だとのことだが、正確にはわからない。

このキャンプには、2021年のビルマ軍のクーデターのときに逃げた人々が暮らしている。現在は 920 人いるという。

クーデター当時、人々はみな川を歩いて渡ってタイ側に逃げた。だが、タイ側に逃げたとて、タイの警察に捕まれば不法入国者として追い返される。そこで、人々はサトウキビ畑の中に入って隠れていたそうだ。

「それで、私は妻と一緒に車ででかけて、サトウキビ畑で大声でさがしてね、見つけると安全なところにまで連れて行ったよ」

と牧師は私たちに語ってくれた。