苦い文学

ケベックの難民たち

さて、ケベックの難民についても少し聞いた。彼がケベックにやってきたのは2006年12月だが、現在、ケベックには20のカレン人家族がいえるそうだ。カナダの他の地域に比べて少ないほうではないかと思う。

現在、多いのはカレンニーの人々だ。カレン人とも関係のある民族だが、ビルマには単独のカレンニー州がある。2016年以前はケベックにいなかったということだ。この最近の流入には、カレンニー人にカソリックが多いことも関係あるのだろうか。

彼の仕事についても聞いた。以前は空港で積荷関係の仕事をしていたが、コロナで失業したそうだ。現在はアルバイトをしているが、冬は仕事がないので、それで3ヶ月の予定でタイ・ビルマ国境で過ごすことにしたとのこと。

ビルマには帰ったことはあるか、と聞いたら、カナダのパスポートなので入国するのは問題はないが「帰らない。家族に迷惑がかかるから」という。以前、彼の友人が一時帰国したさい、出国後、家族が政府から厳しい取り調べを受けて、大変な目にあったそうだ。ひそかに撮られた写真まで証拠として見せられたのだ。この苦境を脱するのに、家族は相当のお金を支払ったという。

そんなわけで、彼は家族に仕送りするのでさえ、直接は送らない。「この金はどこからだ」と政府当局の関心を呼ぶからだ。そのかわり、タイに送金して、そこから友人に運んでもらうのだそうだ。

さて、カナダからの客人とこんな話をしている間に、迎えが来た。私たちはメーソートを出発して、目的地に向かうのだ。