苦い文学

牛の足のスープ

メーソートのバス・ステーションに着いたのは朝の 4:40。バスを降りて、荷物を取り出していると、トゥクトゥクの運転手たちが「用はないか(きっとあるはず)」と声をかけてくる。

私と友人はそれに構わずベンチに座る。しばらくすると、カレン人の牧師(まただ)がやってきてくれた。

彼はこのメーソートでカレン人の子どもたちのための施設をやっている(今回の旅でそこも訪問したいと思っていたがそれは今日ではない)。

彼はちょっと挨拶に来たのだ。というのも彼の兄が日本に住んでいるからで、私もずいぶんお世話になっている。そして彼の別の弟(またまた牧師だ)にもエーヤーワディ・デルタを旅したときにいろいろ協力してもらった。

さて、3人で話していると、迎えの人が来た。私たち3人はその迎えの人と車で朝食を食べに行く。

朝の5時半だが、開いている店はある。インド系のムスリム・ビルマ人の経営するお店で、店内にはアラビア語で神を讃えるプレートが掲げられている。

働いているのもみなビルマ人で、ひとりの女の子は私の友人の出身地であるデルタのミャウンミャの人だった。

まずはビルマの朝の定番だ。練乳入りのミルクティにイーチャーグエという揚げパン。このパンをミルクティに浸して食べる。私はこれが好きで頼まないというときはない。

そしてこの店の名物のインド料理、ペープラーター。これは豆(ペー)を小麦粉の生地(プラーター)で包んで揚げたもの。

もうひとつインド由来の名物も出てきた。「スープ、スープ」と頼んでいたのでなにかと思っていたら、ローリング・ストーンズの「山羊の頭のスープ」ならぬ「牛の足のスープ」だ。蹄が丸ごと入っていて、とろとろに煮込まれた結果、脂身がフワフワするまでにいたった。とてもおいしい。ただ朝の6時前に食べる一品かどうかは分からない。

興味のあるかたは、ぜひメーソート市内の「Lucky Tea Garden」を訪問してほしい。