バンコクからメーソート行きの夜行バスは 19:50 に出る。到着は、朝の 4 時半ごろだ。
私は何度もメーソートに行ったことがあり、夜行バスもよく使った。だが、それも 10 年ぐらい前の話だ。世界の間の距離はそのころに比べてぐんと近くなり、それにともない、私の尿も近くなった。
そんなわけで自由にトイレに行けないバスに長時間乗るのは気が重かった。だがもう、おしっこを漏らしてもいいではないか、むしろ漏らして足跡を(象徴的にも実質的にも)残すぐらいの気持ちで行こうと、覚悟を決めて乗り込んだ。そして、バスにはトイレもついていた。
本来ならば、もっと早くメーソートに着いていたはずで、それを見越して友人は予定を組んでいた。それが半日ぐらい遅れてしまったため、早朝メーソートに着いて、休みなく移動ということになった。つまり、バスの中でしっかり寝なくてはいけなかったのだが、あまり寝られなかった。
出発して 2 時間ほど経った 10 時過ぎに休憩所に停車した。そこでは、チケットについているクーポンで軽食をとることができる。
休憩所内に設置された屋台に行くと、麺とお米のどちらかを選べるようになっている。私の友人がその屋台で働いているのが全員ビルマの人であることに気がついた。みな若い。
友人はうれしそうに話しかけ、一緒に記念写真まで撮っていた。人でいっぱいのバンコクを出ると、それまでは気がつかなかった、ビルマの人々の姿が少しずつ見えてくる。
そしてそれはメーソートに近づくにつれてますます色濃くなる。