さてさて、再入国許可書を持ったビルマのカレン人の友人と私は無事に出国し、そして無事に飛行機に搭乗したのであった。
だが、そのとき私はこう感じずにはいられなかった。「出国するのにこれだけ手間がかかるのだから、タイに入国する時はいったいどうなるだろうか」
そして、その不安は的中したのであった。
スワンナプーム国際空港に到着した私たちは、入国審査の列に並んでいた。日本を出るときは私ひとり先に済ませてしまって、友人が後に残されてしまったので、今度は友人を前にして並んでいたのだった。これならまんがいち彼になにかあったときでも手助けできるというわけだ。
そして、彼の番が来て、審査官の前に立った。私は列の先頭で審査官の様子を注意深く眺めていたのだが、「これはなんだ?」という感じで再入国許可書をみている。戸惑っているようすだ。あちこちパラパラめくったり、パソコンに何か入力したりしている。
友人となにか会話をしだした。友人は許可書のページを指差す。そこにはタイのビザが貼り付けられている。審査官はこれを探していたのだった。審査官はまたなにかパソコンに入力を始める……
いったいどれくらいかかるのだろうか……私は隣の列がスムーズに流れていくのを見ながら考えていた。