苦い文学

聖なる取材

神が作ったというこの世界に、なぜかくも悪が満ちているのだろうか。なぜ苦しみと悲惨が隅々まで染み渡っているのだろうか。

罪のない人々は戦場に送り込まれ、子どもたちは戦火に手も足も未来も奪われる。真実は独裁者たちに踏みにじられ、嘘でなった縄で人々は縛りつけられる。

金と賞賛は強い人間だけに集まり、罪と誹謗中傷は弱い人間だけに集まる。世界中で叩きあい、火をつけあい、温暖化もあいまって、ゆっくりと地獄みたいに加熱されていく。

こんな世界をよくも作ったなどとぬかせるものだ。いったい、製造者責任をどうやって問えばいいのだろうか。それとも、とっくに保証期間が過ぎたから、対応しないということなのだろうか。なんにせよ、神は空の高みに雲隠れするばかりで、生産者の顔を見ることなど、とんだ高望みなのだ。

被造物になにができるというのだ。「なぜ? なぜ? なぜ? なぜこんな世界を作った?」と、ただ問い続けるほかないのだろうか。

そんな疑問を抱いた本誌は、この世界の不正な現状について、神に取材を敢行すべく、質問状を送付したが、期日までに回答はなかった。