苦い文学

ドリーム忠臣蔵

《スポイラー注意:以下の小文を読んだ者は、以後、まともに忠臣蔵を味わうことができなくなるであろう》

元禄 14 年 3 月、江戸城松の廊下で浅野内匠頭が吉良上野介を切り付ける事件が発生した。事件を重く見た幕府は浅野内匠頭に即日切腹を命じた。

赤穂藩は改易処分となり、主を失った元藩士たちは浅野家再興の運動を始めた。そのいっぽう、江戸詰めの浪人たちから、仇討ちを求める声が上がり出した。

筆頭家老であった大石内蔵助は、京都山科に隠棲していた。仇討ち派の動きが活発になったのを受け、江戸に下り、元藩士たちと会合を重ねた。

京都に戻った大石内蔵助は、廓で放蕩三昧の日々を送るようになった。遊女に囲まれ、酔い痴れて、歌を歌っているところに、吉良側に寝返った元藩士がやってきた。内蔵助に仇討ちの意図ありやなしやを探る、その元藩士の目の前で、酔い潰れた内蔵助はいびきをかいて眠ってしまった。

夢の中で、大石内蔵助は、46 人の仲間たちを率いて、吉良上野介の屋敷に討ち入り、みごと仇討ちを果たした。