「千葉県は最強の県なのです」と語るのは吉田九郎さん。「美しい海もあれば峨々たる山もあります。海産物も野菜もないものはありません。東京ディズニーランドと成田空港がある県などほかにあるでしょうか。ですが」と声を曇らせます。
「最近、千葉に欠けていることが明らかになりました。それは熊です」
千葉県には熊がいないのは、関東平野に囲まれ、利根川で本州と切り離されているという地理的な要因によるものだとされています。
「そうだとしても、最強の県に最強の動物がいないっておかしくないですか?」 吉田さんはこう問いかけて笑います。
他県で熊のニュースが流れるたびに悔しい思いをしていた吉田さん、千葉を熊の住む県にするため、いくつかのプロジェクトを立ち上げてきました。熊の千葉県移住を促進するウェブサイトを制作したり、利根川に鮭を放流してみたり……ですが、どれもうまくいきませんでした。
すっかり手詰まりになった吉田さんにある日名案が浮かびます。「そうだ、熊になろう、と。ええ、熊を連れてこようという発想がそもそも間違っていたのです。『いないなら私がなろうツキノワグマ』 戦国武将の発想です」
現在、吉田さんは、千葉の山奥で黒い毛布をかぶってひとりで暮らしています。
「日を追うごとに自分が熊になりつつあるのを感じています。ガオー」
千葉の熊第1号が人々を襲いはじめるのもそう遠くないことかもしれません。