韓国の仁川で開催された「日韓市民100人未来対話」は、11 月 24 日からだが、私はいわゆる「前乗り」をして、23 日の夜と 24 日の朝をソウルで過ごした。
はじめて韓国に行く私はこの機会にどうしても見たいものがあった。それはバス停だ。
韓国のドラマではバス停がよく出てくる。ただ、バス停といっても標識が一本立っているだけのものはあまり出てこない。そうではなくて、屋根があってベンチがあるタイプだ。
このバス停が韓国のドラマで非常に重要な役割を担っているのだ。
主人公が出会ったり、別れたり、告白したり、バスに飛び乗ったり、追いかけたり、ベンチでため息ついて物思いにふけったり、酔っ払って寝込んだり……つまり、ソウルでもっともドラマティックでロマンティックな場所なのだ。
もちろん、現実のバス停はそうではないだろうが、そうであっても私はぜひこのバス停をいろいろ見たいと思って、ソウルの街を歩き回り、バス停を見つけるたびに「お、いいバス停」などと呟きながら写真を撮ったのだった。
ただ、かえすがえすも残念だったのは、実際にバス停のベンチに座ってドラマ感を味わうことができなかったことだ。バスを待つソウル市民の中に入って「これがあのバス停か……」などと感慨深げにバス停を鑑賞する勇気がなかった。バス停は人がバスに乗るための場所であり、観光地ではないのだ。
だが、それでも私はバス停をもっと味わいたい。次回は、ソウル各地のバス停を訪問し、できればベンチで宿泊したいと思っている。