苦い文学

Sweet Home Chicago

学校で want to とか I am not とか教えられた私たちは、英米のロック音楽を聴いてはじめて、これが間違いだということを知る。ロック音楽ではいつでも wanna だし、I ain’t なのだ。

ロックでは、wanna や I ain’t などのロック英語しか使ってはいけない。もし、学校で習う英語で歌ったらたちまちロックはダサい音楽に変わってしまう。

たとえば、ロックに多大な影響を与えた Sweet Home Chicago という名曲をとりあげよう。歌い出しはこんなふうだ。

Oh baby don’t you wanna go
(ねえ、行きたかねえのかよ)

これを want to に変えてみよう。訳でもわかるように、もうロック精神がまったく消えてしまうのだ。

Oh baby don’t you want to go
(おお、赤子よ、あなたは行くことを欲さないのか)

そして、実際に、Sweet Home Chicago の数々のバージョンを聞いてみよう。エリック・クラプトン、ブルース・ブラザーズ、マジック・サム、ロイ・ブキャナン……これら錚々たるミュージシャンが、wanna で歌っている。ロック精神の持ち主はこうでなくてはならない。

しかし、残念ながら、Sweet Home Chicago を want to で歌ってしまっている恥ずかしいミュージシャンもいる。

とくに以下のミュージシャンは、いっこくも早く wanna で再録音するか、音源を廃棄すべきだろう。

トッド・ラングレン(アメリカのミュージシャン)
ピーター・グリーン(イギリスのミュージシャン)
ロバート・ジョンソン(アメリカのミュージシャン。Sweet Home Chicago オリジナル・バージョンを 1937 年に発表)