1960 年代末、ビートルズのポール・マッカートニーが実は死んでいたという噂が流れたことがある。世に有名な「ポール死亡説」だが、もちろんのこと、根も葉もないデタラメだ。
ところが、最近になって、ポール脂肪説という新たな説が提出された。こんな説だ。
「再現映像のポール・マッカートニーはいつもぽっちゃりしている」
どういうことかというと、ポールは少なくともビートルズ時代はぽっちゃりしていたことはないのに、再現映像などでポールの役を演じる役者は、どういうわけか必ずぽっちゃりしているというのだ。
この主張をする人は、こんな説明をしている。ポールは頬の丸みがひとつの特徴であるが、この丸みはぽっちゃりした人でなくては出せないからだ、と。
つまり、私たちは、ポールかポールでないかを頬の膨らみで見分けている、ということになる。この点に関して、スコットランドのキンタイア大学で興味深い実験が行われている。
「(A)実際のポールとほぼ同じ体型で頬が丸くない人」と「(B)実際のポールよりぽっちゃりして、頬が丸い人」にトレードマークのカブトムシに似たベース(カール・ヘフナー 500-1)を持たせて、どちらがポール・マッカートニーか、100 人の被験者に選んでもらったのだという。
結果は驚くべきものだった。100 人中、99 人が、ぽっちゃりしている (B) をポールだと答えたのである。そして、その 99 人は (A) をジョージ・ハリスンとした点でも一致していた。すなわち、ポール脂肪説は証明されたのだ。
なお、ぽっちゃりしていないほうの (A) をポールだと答えた、たったひとりの人物は、(B) を、ブライアン・ウィルソン(ビーチボーイズ)と断定したそうだ。