教室に行ったら、2人の学生が真剣な顔つきで話し込んでいた。授業の準備をしながら、私は聞くともなしに聞いていた。
「まったく、遠くから見ているせいか歯痒くなってくるよね。どうしてこんな簡単なことができないのって。お互いを認め合って、譲り合うだけで、すべて解決するのに。殺し合う必要なんかないよ」
「そうそう、つまらないことで意地張っているように見える。武器を捨てることが、そんなに難しいのかな。もっと互いを尊重すべきじゃない? ただただ命が奪われていくのは悲しすぎる」
ひとりが嘆息した。「こんなこと言っちゃいけないのかもしれないけど、愚かすぎだよ。命を守るために全力を尽くすべきだと思う」
「ああ、それは同感。責任ある人がちゃんとしたらいいのに」
私は国際政治が専門ということもあり、現在の国際情勢について真剣に議論する学生たちを好ましく思った。そこで、つい余計な口を挟んでしまった。
「あのさ、難しい問題だけど、まずはイスラエルとパレスチナの歴史を読んでみると、また違った見方もできると思うよ」
すると2人は当惑しながら、こう言った。
「えっ、クマの話をしていたんですが……」