「いじめはなかった」でお馴染みの教育委員会が、またおかしなことをはじめた。
教師をすべて AI 教師にするというのだ。噂を聞きつけて教育委員会を訪問すると、関係者は「これで学校から性犯罪を一掃できる」と自信満々に告げた。
もう人間の教師などいらないと、教育委員会が認めてしまったのだ。子どもたちを教師の毒牙から守るためには、なりふりなどかまっていられない、ということだろう。
しかし、AI に教師の役が務まるものだろうか。教育委員会による説明はこうだ。
「私たちには膨大な教育データがあります。教育方法、教材の作り方、児童への対応、ビデオ記録など、これまで蓄積されたデータを AI 教師に学習させるのです。おそらく完全な教師が誕生することでしょう」
私は尋ねた。「ですが、これらのデータは、これまでの先生方の汗と努力の結晶のはず。それを勝手に学習させていいのですか」
「ええ、一部の教員から、『私たちの作り上げたものを勝手に使うな!』と反対の声が上がっているのは確かですが、私たちの組織はそうした一部の声を押しつぶすのには慣れているので、まったく問題ありません」
万全の策が取られている、ということか。私はさらに尋ねた。
「では、その学習はどのように行われているのですか?」
「先ほど申し上げたように、膨大なデータを AI を学習させるのです。特別な教室を AI のために用意し、教師がつきっきりで学習を進めています」
「その教室を見ることはできますか?」
「ええ」と私はその教室に連れていってもらった。
扉を開けると、教師が AI にセクハラをしている最中だった。