苦い文学

配送(2)

もしかしたら危険なものだろうか? だが、¥500 という価格から考えると、違法な薬物などが取引されているようには思えなかった。いや、もしかしたら、送られてくる箱の中にその先の取引方法が書かれているのかもしれない。ことによったら、今流行りの闇バイトに巻き込まれるかもしれない……

私は悩んだ。だが、結局は好奇心のほうが勝った。私は「配送」をカートに入れ、レジに進み、注文を確定させた。お届け予定日が翌日と表示された。

そして、翌る日、私は朝から家にいて配送が配送されるのを待ちかまえていた。出かける用事はあったがすべてキャンセルした。

いったい配送が再配達されうるものだろうか? 配送を置き配にするだと? そんなことがありうるのか。

もちろん、どうやら箱がありそうだということはわかっていたが、配送が成立しなかったら、その箱にすら、お目にかかれないのではないだろうか?

いや、これは絶対に自宅にいて、自ら受け取らなければならない、そう私は考えたのだ。