ジャミラは元々は宇宙飛行士だったが、不慮の事故でたどり着いた過酷な星で暮らすうちに、異様な姿の怪獣となってしまった。
どんな姿かというと、両肩と頭が一体化しているのだ。
どうしてそんな姿になってしまったのだろうか。ウルトラ怪獣研究家の間ではさまざまな説が提唱されている。ラクダのコブのように栄養が蓄えられている、とか、宇宙の放射線から頭を守るプロテクターだ、とか。
私の説を述べれば、ネックピローをもって宇宙に行かなかったことが原因だと考えている。激しく揺れる宇宙船の座席でネックピローなしにどうやって寝ることができようか。肩が盛り上がって頭を包み込むように変化するほかないのだ。
実際、ジャミラほどではないが、私たちも座りながら寝るのに苦労している。
電車で居眠りすれば、両隣で頭の押しつけあいが始まる。そして、居眠りしている人も、両隣に迷惑をかけまいと眠りながらも思うのか、どちらにももたれかからぬよう、頭をグルグル振りまわすありさまだ。
そして、航空機の中では、誰もが寝る時の頭の置き場に困っている。座って寝るかぎり、どんな姿勢を取っても、頭はグラグラし、首は不自然な形で折れ曲がる。もし、ネックピローという文明の成果がなかったら、私たちは自分の頭を機内持込みにせずに預けてしまっていたことだろう。
我々がこのような苦労をするのも、もとはといえば、我々の祖先が怠け者であったからだ。のんきに横になって寝るばかりで、座りながら寝られるように進化すべきなどと夢にも思わなかったのだ。