ペテン師になるための第一歩は「120 パーセント」の魔法を使えるようになることだ。
「120 パーセントない」「120 パーセント出しきる」「120 パーセント叶える」などなど、自在に使いこなしてこそペテンもうまくいこうものだ。
だが、120 パーセントとはなんだろうか。100 までしかないからパーセントなのだ(cent=100)。それを、20 パーセントも増量してしまう。これが魔法の魔法たるゆえんだ。
もちろん「前年比 120 パーセント」という言い方はある。だが、それはなにかとの比較があってのことだ。ペテン師が「120 パーセントない」というとき、去年に比べて今年はもっとなかった、ということを言いたいわけではない。
ペテン師が「120 パーセント」で言いたいのは、100 パーセントよりすごいということだ。20 の上乗せで粉飾してだまくらかそうとしているのだ。
だが、ペテン師が「120 パーセント」の魔法を振るう理由はそれだけではない。この言葉は、現実を覆い隠すのに都合がいいからだ。
その証拠に、ペテン師は絶対に「100 パーセントない」とは言わない。なぜなら、それだと現実的に検証可能になってしまうからだ。百分率を越えた魔法の世界に相手を連れ込めば、なんでも好きなようにできるということを、ペテン師は知っているのだ。
修行を積んで「120 パーセント」を使いこなせるようになると、ペテン師は「200 パーセント」「2000 パーセント」など、上級の魔法の習得を始める。