苦い文学

千葉の言い伝え

昔、戦さに敗れて源頼朝が千葉県に逃げてきたとき、千葉の人々はあたたかくこの貴人をもてなした。

頼朝はたいそう感激して、一時は千葉県に幕府を開こうかと決めたくらいだ。しかし、神奈川の意地悪な連中が嫉妬して、しきりに千葉県民を貶したので、翻意して薄汚い鎌倉に移ったのだという。

鎌倉幕府は150年ほど続いたが、頼朝の家系は絶え、北条氏に奪われた。もし頼朝が千葉に幕府を開いていたら、そんなことにはならなかったろう。おそらく、今も千葉で幕府が続いていた可能性が高い……

……と、千葉の山奥に伝わる言い伝えは語るが、その真偽のほどはさておくとしても、千葉の人々は、どうやら昔から逃亡者にやさしかったようだ。

その昔、鹿野山から虎が逃げ出したのも、頼朝公を受け入れた千葉県民の温情を期待してのことではないだろうか。また最近でも、千葉の各地でドーベルマンやジャーマン・シェパードが逃げ出す事件が続いた。千葉は動物が逃げる県で有名だ。

八丈島のきょんもそうだ。動物園から逃げ出して、千葉の山でのびのび暮らしているという。

こんなお国柄であることを思えば、成田空港に世界各国から難民が逃げてくるのも当然といえば当然ではないだろうか。