苦い文学

未来における身長差

不慮の事故により遠い未来へとリープした私は、自分の時代に帰る手立てを求めて未来世界をさまよっていた。

北方の険しい山岳地帯を旅するなか、私は一群の巨人たちに遭遇した。これらの巨人は通常の人間ならば動かせもしないような巨大な石材や木材を苦悶の表情を浮かべながら運搬していた。まるで肉でできたブルドーザーのようだった。

私はこの異様な光景に心奪われ、これらの巨人たちの後を追うことにした。巨人たちは苦しみに喘ぎながら山を登り、ある地点で積荷を地面に下ろした。どうやら休憩のようだった。彼らは腰の袋から粗末な食物を取り出し、むしゃむしゃと食べ始めた。

私は巨人の一人に尋ねた。

「あなたたちはどうしてこのような骨の折れる仕事をしているのでしょうか」

「私たちはご主人様のために建材を運んでいるのです」

「ご主人様というと?」

「私たちの所有者です。ご主人様たちは私たちを奴隷と呼んでいます」

私はあきれた。「あなたがたのような立派で強靭な肉体を持つ人々が、奴隷の地位に甘んじているとは、いったいどういうことでしょうか」

巨人は悲しそうに首を振った。

そのとき、怒鳴り声が聞こえた。「お前たちなにをしている! チビどもめ! こんなところでサボりおって、目を離すとすぐにこれだ! このチビどもめ!」

目を向けると、髭を生やした小男が、杖を振り回しながら、喚いているのだった。

巨人たちはただちに立ち上がり、建材の運搬に取り掛かった。小男が巨人たちを杖でせっつくと再び隊列は動き出し、山の上に消えていった。

私は小男に近づいた。「あの巨人たちの所有者の方ですか?」

小男は鼻を鳴らした。「いかにも」

「先ほどからあなたの様子を拝見しておりましたが、あなたがあの巨人たちを『チビ』と呼んでいるのはどうしてでしょうか」

「それは昔からそう決まっているのだ」

「昔からというと?」

「大昔、私たちの国で、身長 170 センチ以下には人権がないという掟が定められたのだ。そこで、身長 170 センチ以下の人々は人権を奪われ、私たちの先祖の奴隷となったのだ。しかし、厳しい労働が原因となったものであろうか、あれら『チビ』どもはぐんぐんと大きくなり、今ではあのような巨人となったのだ。だが、我々は昔からの名残で彼らを『チビ』と呼んでいるのだ」

私は小男を見た。彼は私よりも小さく、どう見ても 170 センチはなかった。「では、今のあなたには人権はあるのでしょうか」

男は「掟ができたときにご先祖様が身長 170 以上であったことは少なくとも確かだ」と胸を張った。

これを聞くと私はあわてて逃げ出した。自分の時代に帰る前に、170 センチに足りないせいで奴隷にされてはかなわない。