苦い文学

主文のデッドヒート

極刑の判決がくだるとき、主文はいつだって後回しだ。

これは主文を先に言ってしまうと、被告人が動揺するからだそうだ。だが、後回しにされた時点で、被告人にとってはもうネタバレ、ということは裁判官の頭に思い浮かばなかったらしい。

むしろはじめはダミーの主文を読んで、それから判決理由、そして最後にもういちど主文で極刑の宣告のほうがよいのではないか。

裁判官(第一声)「被告は無罪!」 判決理由を述べたのち「かと思わせといてやっぱり死刑!」

主文で判決理由を挟むこの「主文サンドウィッチ」になにか問題があるのだろうか。もし問題があるのであれば、裁判官が不意打ちで主文を読むことにしたっていい。

だが、私がお勧めしたいのは、用意ドンで、主文と判決理由が一斉にスタートするレースだ。判決理由が勝てば、主文は後回しで極刑となる。

被告にとってはもう主文を応援するしかない。主文が勝てば少なくとも死刑にはならないのだ。

コースは山あり谷あり、急カーブあり。主文と判決理由が抜きつ抜かれつのデッドヒート。

主文勝て! 主文がんばれ! 手に汗握るレース展開に手錠をかけられた手もびっしょりだ。