苦い文学

ゾンビたち

彼の住む地域でゾンビが人々を襲いはじめた。

ニュースで報じられたときは、遠くの場所の話だったが、次のニュースではもっと近くなり、その次のニュースではもっともっと近くなった。そして、その次のニュースはなかった。

彼の村は山奥にあった。村人たちは、こんなところまでゾンビは来るまいとたかをくくっていた。だが、彼は自分の家に要塞のような固い防御を施した。

そして、ある朝、ゾンビの群れが山を越えて村に侵入してきた。ゾンビは村人たちに襲いかかり、次々とゾンビに変えていった。

彼は襲撃を目にすると家の中に駆け込み、中から鍵をかけた。家の外の様子をモニターで監視していると、ゾンビたちが家に続々と集まってくるのが見えた。

ソンビたちは扉をこじ開けようとした。それが無理だとわかると、壁という壁にぶつかり、破壊しようとした。そのころには、無数のゾンビが家を取り巻いていた。そして、一斉に彼の家を潰しにかかった。

凄まじい音が幾度も鳴り響き、木材が音を立てて破裂した。そして、家は崩れ去り、彼をゾンビが取り囲んだ。

「寄り添わしてください……」「絆をもっと強く……」

彼もまたゾンビとなり、人に寄り添い、人と人との絆を強めるべく人々を襲い始めた。