苦い文学

完全な世界

創造の御業を終えた神様は、できあがった世界を満足げに見下ろしたのだった。そして、天使たちを集めてこう言った。

「私は完全なる世界を作り上げた。お前たちは日々、巡回して起きたことを私に報告するのだ」

天使たちは散らばって、世界の様子を見て回った。どの被造物も満足そうに育ち、風に揺れ、ひなたぼっこしていた。

だが、ある天使が、一部の被造物たちの叫びに気がついた。

「なぜ、私たちは苦しまねばならないのか!」「私は家族を殺された!」「子どもたちが殺されている!」「神様! 助けてください。」

天使は、これらうるさい被造物の間に入り込んだ。どうやら「悪」が問題らしい。

そこで、天使はさっそく天に昇り、神様にこの「悪」について報告した。すると神様はこんなふうに怒ったのだった。

「この完全な世界にそのようなものがあるはずがない! フェイクニュースだ!」

「いえ、でも確かに見たのです」と天使が言い張ると神はこう見得を切った。

「もし本当だったら、神様を辞める!」

天使は黙して去り、悪ははびこり、世界は破滅した。