苦い文学

田舎と都会

デパートやファストフードやコンビニは、田舎に暮らす私たちにとっては憧れの的だった。

やがて、私たちの田舎も交通が整備され、都会から新しい風が吹き込んできた。近くに大きなショッピングセンターもでき、その中には夢にまで見たファストフード店が入っていた。

そして、大きな道路沿いにはコンビニが立ち並んだ。私たちの田舎もすこしずつ都会のようになっていったのだ。

「いつかは都会そのものになるだろう」と私たちは予測した。

それから歳月が流れ、私たちは道路沿いのコンビニが次々と閉店していくのに気がついた。コンビニの後は葬儀社や介護施設が入った。そして、ショッピングセンターも売り場を縮小しはじめた。無人のフロアが増えていき、ついに人々はこの場所を見限った。ファストフードもうんと遠くに行かなければ食べられなくなった。

私たちの田舎はもとの田舎に戻った。いや、もっと田舎になった。

都会でもデパートの閉店が相次ぎ、ファストフードもコンビニも次々と姿を消しているという。

「今は都会が田舎になるのがトレンドだ」と、私たちはうれしくなった。