苦い文学

富裕層への道

本屋に行くと「富裕層の生き方」「富裕層の哲学」について学ぶ本がたくさんある。「富裕層おすすめの本」もあれば「富裕層が決してしないこと」の本もある。

雑誌には富裕層の暮らしに関する情報、たとえば「富裕層が勧める習慣とは?」とか「富裕層の丁寧な暮らし」「富裕層の食卓」だのなんだのでいっぱいだ。

もちろんインターネットだって負けてはいない。「富裕層に近づくためのセミナー」「富裕層の投資指南オンラインサロン」なんてのはまともなほうで、富裕層がこっそり利用している占い師・風水師・開運グッズ・お守りであふれてる。

だが、注意してほしいのは、これら作者や講師やペテン師どもは富裕層ではなということだ。それが証拠に連中のプロフィールを読んでほしい。

「富裕層の顧客多数……」

「コンサルタントとして数多くの富裕層と交流……」

「富裕層からの信頼も厚く……」

つまり、連中は、富裕層の(自称)代理人だ。雲の上の存在である富裕層の秘密を私たちだけにこっそり打ち明けてくれるというわけだ。

しかし、連中の言ってることは本当に役に立つのだろうか? 富裕層でもないのに?

そもそも富裕層の猿真似をすれば富裕層になれるというのは、なんとも原始的な思考だ。トーテム思考、社会的ホメオパシーだ。

むしろ、こうした連中の商品に無駄金を使わないほうが、富裕層への近道ではないか。

もしも、この世に富裕層なるものがいればの話だが……それさえも私は疑っているのだ。