日本の若者の皆様
拝啓 早春の候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
高齢化が進むこの日本で、私ども老人は近頃、生きるのに肩身狭い思いすることしばしばでございます。
と申しますのも、「老害」などという言葉が生まれたせいで、私どもがすることなすことすべて「老害」と片付けられ、罵られ、嘲られるからでございます。
この「老害」なる言葉、私どもにとってはまったく慮外なるものでございまして、はなはだ不正確にして、私どもの尊厳をいたく傷つけ、踏みにじるものなのです。
なぜ、私どもがこの言葉に反対するかと言いますと、それは私どもが老害などではまったくないからでございます。
思い起こせば、私どもは生まれた時は、嬰害でありました。それから幼害、少害、青害、若害と進み、大人となってからは成害、壮害、中害をへて、老境に達したのであります。
じつに私どもは筋金入りの害、害そのもの、生き害なのでございます。それを、現在の害のみを取り上げて「老害」などと軽々なる物言いをされるのは、はなはだ心外であります。
まるで老人になる前は、有益なことばかりしていたようではありませんか。いや、それどころか、これまで生涯せっせと為してきた数々の害を否定されたような気がするのです。じつに悔しく、切ないのでございます。
若い皆様におかれましては、なにとぞ私どもの切なる願いをご斟酌の上、この「老害」なる不当な言葉を使用なさらぬようご配慮を切にお願い申し上げる次第です。
敬具
日本の老人有志一同