苦い文学

宇宙炎上

地球は未曾有の混乱にあった。

原因不明の磁気嵐がたびたび襲来し、停電が頻発した。電波障害があらゆる通信機器と電子媒体を動作不能にした。そして、謎の重力波異常により、大地は震え、津波が都市を飲み込んだ。

科学者たちは総力を上げてその原因を調査し、驚くべき事実にたどり着いた。これらの異変はすべて、宇宙からやってきていたのだ。

しかも、言語に似た波長まで含まれていた。世界中の言語学者たちが解読に取りかかった。

すると、さらに驚くべきことが明らかになった。その波長は、罵りや嘲笑、中傷以外に解釈できなかったのだ。

その間にも地球への悪意に満ちた攻撃は続いていた。海は干上がり、山は谷となった。ついに滅亡の時が来たか、と誰もが思ったその瞬間、巨大な宇宙船が世界の空に出現した。

その宇宙船は、人類の脳に直接、イメージを送りつけてきた。それは、アポロ11号の宇宙飛行士が月面に立つ、あの有名な写真であった。

宇宙船は続いてなにやらメッセージも大量に送信してきた。言語学者たちがさっそく解読すると、すべての真相が明らかになった。あの月面の写真が宇宙中に拡散され、全宇宙規模で炎上しているというのだ。

「他の天体に土足で上がって面白半分に写真を撮るなんて絶対許せん。とことんお前たちを追い詰めてやるぞ」 そんなメッセージを散々繰り返すと、宇宙船はどこか遠い宇宙に飛び去っていった。