苦い文学

オエーッを追え

何日か前に、私は「オエーッとする人」について書いた。

これは、同性愛者だとかが楽しげにしていたり、見下されている女性がオシャレしたりすると、忽然と現れて「オエーッ」とやってみせる男たちのことだ。

こうした「オエーッびと」について、「最近とんと見なくなった」と私は記し、時代の趨勢に押され、もはや絶滅したのでは、とさえ考えていた。

だが、ここ数日で、状況は完全に変わった。「オエーッびと」がある特定の領域に逃げ込み、ひそかに棲息していることが確証されたのだ。これは、ツチノコ、ヒバゴン、クッシーの発見に比肩すべき大発見だ(たぶんナショナルジオグラフィックにも掲載されるだろう)。

なんと我が国の政権の中枢に「オエーッびと」がいることが明らかになったのだ。ニュースによれば、総理の側近が LGBT など性的少数者について「僕だって見るのも嫌だ。隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」と言ったという。これはオフレコの発言だが、もっとオフレコにすると「オエーッ」となる。つまりこの人物はまぎれもない「オエーッびと」なのであった。

岸田総理はすぐさまこの「オエーッびと」を表舞台から引っ込ませたが、おそらく政権の背後には無数の「オエーッびと」が隠れ暮らしているにちがいない。

これは単なる推測ではない。かつて保守系の団体の式典に参加したとき、参列者たちが実に奇妙な節回しで国歌を歌うのを耳にし、不審に思ったことを思い出す。参列者たちは声を揃えて「やーちーよオエーッにー」、「いーわーオエーッになありーて」というように歌ったのである。それはまったく我が国を侮辱しているかのように響いた。

思えばこれが「オエーッびと」存在の証拠であったのだ。私はこれを見抜けなかった自らの不明を恥じるとともに、以後「オエーッびと」の捕獲と駆除に全力を尽くしたい。